映画「Quartet カルテット」(2000年)
12月6日にNHK-BS2放映を録画したのを見る。
久石譲というとスタジオジブリ作品に無縁な自分でも、それらの作品の音楽を作ったということや、北野武映画の音楽をやってるのは知ってる。この映画は「音楽映画」というふれこみで、この映画のためチェロを弾く女性を募集しているらしいという話は私の所属するアマチュアオーケストラできいたこともあった。
ということで、ツッコミどころ満載ではという期待とともに見る。
まず、映画としての方について。
他のジャンルで成功を収めた人が映画監督業に乗り出す例はときどきあるが、久石譲自身は映画音楽はたくさん作っていても、自身はどの程度の映画愛好家なのか。監督・脚本まで一人でやっちゃっているが、脚本が声を出して笑ってしまうほど陳腐な話。音大を出ながらプロとして活躍できない音楽家の青春という目の付けどころはよかったのだろうが(検索すると自分の体験の投影でもあるらしい)、
カルテットのコンクールで失敗→偶然再会→カルテットのコンクールに再挑戦を決意→それぞれのメンバーは人生いろいろ→ドサ回りで苦楽をともにする→失敗はしたけど人間としては成長、絆が成長
という話って、あまりに陳腐でご都合主義的じゃああーりませんか。
4人の中で1人だけ成功の芽が出つつある第1ヴァイオリンの兄ちゃんが仲間に黙ってコンサートマスターとして参加した演奏会の会場からカルテットのコンクールの会場まで走って駆けつけるとかは、「おい、『走れメロス』かよ」とテレビに向かって叫んでしまった。ヴィオラの兄ちゃんにコンクールの本番寸前に子供が生まれるとか、深窓の令嬢なチェロ弾きの女性のキャラ設定、気の強さをあらわすためなのだろうが第2ヴァイオリンの姉ちゃんが楽器ケースで人を小突くとか、砂浜でカルテットはやらんぞ期待を裏切らぬツッコミどころ満載。前回のコンクール挑戦も今回もチェロの弦が切れるというのも笑った。(ちなみに普通弦が切れたら、張り直して演奏を再開するのだと思うが、1回目はそこで演奏が終わってしまい、2回目はA線が切れたのにかかわらず3本弦で(D線のハイポジションを駆使する!)弾き続けるというのも謎。)。
4人がドサ回りしているとき弾く音楽がジブリ作品で、子供が振り向くというというのも、反則だ。
他ジャンルで成功を収め映画監督業に乗り出した人というと和田誠をすく思い浮かべたが、こちらは脚本は単独の場合と共同の場合があるようで、協力者がいたほうが賢明だと思う。
続いて音楽面。
公式サイトのバイオグラフィーを見ると、
国立音楽大学在学中よりミニマルミュージックに興味を持ち、現代音楽の作曲家としてコンサートの作曲・演奏・プロデュースを数多く行う。
ということだそうだが、流れる音楽はナイマンとドビュッシーとヒーリングミュージックを掛け合わせた、デジャブ感、もとい見るのではないので「どっかで聴いた記憶が」という感じ溢れるもの。コンクールで弾く曲も本人作だが、絶対曲のせいでこいつらコンクールは無理だ。
なお、カルテットのチェロ以外の3人は楽器経験者ではないが、一生懸命特訓したそうで、またリアルな手の動きが必要なところは「二人羽織」方式でやっているそうで、思ったほどの違和感はなかった。(重要な役回りであるおひょいさん(藤村俊二)のは格好になっていなかったが。)
チェロのお姉さんは東京芸大卒業後、病院、社会福祉施設での演奏が主な活動の場らしいが、ぬぁんと我が家に極めて近いところにお住まいのようであった。
ちなみに、スタッフのリストを見ると企画に秋元康が名を連ね、おしまいのクレジットを見るとNHKエンタープライズも名を連ねていた。NHKで放送するタイプの映画でないものが、BSとはいえ平日ゴールデンアワーに放映されるのも、こういう大人の事情があるのか。