NHK「人間ドキュメント」 「チューバ 一吹きにかける 38年ぶりの奏者交代」
クラシック音楽関連番組ではある。NHKの振れ込みはこれ。
オーケストラで最も低い音を任されるチューバ。安定した職を捨て、NHK交響楽団への入団をめざす池田幸広さん(29)は、ベテラン奏者の引退で38年ぶりに行われたオーディションを突破し、仮入団を果たす。一年間の試用期間を経て果たして正団員となれるのか。一吹きにかける若きチューバ奏者の挑戦を追った。
NHK交響楽団で風貌も相俟って名物でもあった多戸幾久三氏が定年退職され、それに先立ち昨年4月オーディションが実施されたわけだが、楽器の性格上しょうがないのではあるが、38年ぶりのオーディションに多数の応募、それに受かっても1年間は試用期間というのはキツい世界ではある。
生活が保証されているわけでもなく、夫人は小さい子供を抱えただ見守るしかないというのも胸をつかれた。(カメラを回しておいて、正採用にならなかったらそれでも放送したのだろうか。)
また、試用期間中に少しでもオーケストラで吹くことのノウハウを伝授したいという多戸氏の思いも画面から伝わってきた。チューバが2本出てくる「アルプス交響曲」「ツァラトストラはこう語った」で、多戸氏が池田氏にどっちのパートを吹いてもらおうか悩むところもそうだし、「新世界より」の第4楽章(言うまでもないがチューバは第2楽章に8小節出番があるだけ)で、「ここのトロンボーンパートも吹いてみろ」と多戸氏が池田氏にアドバイスするが、一生懸命教える多戸氏の表情、でも結局実際にはできなかった池田氏の表情をカメラはとらえていた。(これは、ブラームス交響曲第1番第4楽章のホルンの追加みたいに一般的なのだろうか。)
番組としては多戸氏のみに焦点を当てる、あるいは池田氏のみに焦点を当てるのもあろうが、「伝える」ということをみせるのなら2人に焦点を当てるというつくりでよかったのではないかと思う。(最初のナレーションの「カラヤンや小澤征爾も指揮台に立ち」というのは、画面に向かって突っ込んでしまったが。)