『ピアニストが見たピアニスト』
白水社のサイトの本の紹介はこれ。
あちこちで評判がいいようなので購入して読んでみた。
取り上げられているピアニストは、
負をさらけ出した人―スビャトスラフ・リヒテル
イリュージョニスト―ベネデッティ=ミケランジェリ
ソロの孤独―マルタ・アルゲリッチ
燃えつきたスカルボ―サンソン・フランソワ
本物の音楽を求めて―ピエール・バルビゼ
貴公子と鬼神の間―エリック・ハイドシェック
である。
私は、チェロを(趣味で)やっているのに親が転勤族だったため恥ずかしながらピアノのおけいこをしたことがない人間で、本書にあるテクニックに言及した部分については十分な理解をしていないのだが、それでも十分面白かった。
個人のブログで「家政婦は見た」的暴露本という評があったりするが、それはやや的外れというべきで(著者が同業者で「暴露」というのは志の低さを謗られる危険があり、それでもいいという人意外はできまい)、関係者への取材、活字媒体、音源、映像等資料の研究を徹底して行っているもので、著者の分析に賛同しなかったとしても「なぜ、こう考えたか」という道筋は明快に分かるものである。
他方でピアニストでないとわからないステージの上での心理、テクニックにも言及し、バランスのとれたものとなっている。
取り上げたピアニストについてそれぞれの章のサブタイトルに著者の主張は明確である。最後の2人は直接面識のある人でその前の4人とはとりあげるスタンスが違っているのは当然であるが、面識のあるにもかかわらず愛情はあるがヨイショにはなっていないのが、この本のよいところである。
著者の師であるバルビゼについては恥ずかしながら名前くらいしか知らなかったが、演奏についてディスクをゲットして聴いてみようと思う。あと、ハイドシェックも某評論家とその関係者がやたら持ち上げるので恐れをなして聴いたことがなかったのだが、これも偏見はどこかへおいて聴いてみたいと思う。









