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粗製濫造の新書業界だが…

本の名前そのものをタイトルにするのはやめておくが、手元の本を読み終えてしまったので書店に置いてあった『ヴァイオリンとチェロの名盤 カザルスからヴェンゲーロフまで50人を聴く』(平凡社新書、ISBN4-582-85311-0)という本を買った。
読み始めてみたが、こんなことが気になりだして、だんだん怒りに変わってきた。
・入門者が読むことが多いのに個々の演奏家の代表盤として挙げられているものが、趣味に偏りすぎである。(別にお気に入りの1枚を挙げているから、そういうのはそっちで挙げればいい。)
・参考文献を見ると、プロが読む本とは思えない一般的なもので、あと各種サイトを参考にしている。パクリとまでは言わないが、どんなものか。
・ということなので、事実関係の調査が不十分で、五嶋みどりが鈴木メソッドで勉強していたことになっていたり(竹澤恭子と間違えたか?)、漆原啓子・朝子とも欧州在住にされてしまっていたり、という事実誤認。また、コンクールで世に出る演奏家が多いというのは最近の傾向であるということを挙げるのに、ロストロポーヴィッチ・チェロ国際コンクール特別賞の長谷川陽子を挙げるのは、挙げる意味からするとずれているように思う。
・もちろん著者の好みを排除して本を書くことは不可能であるが、千住真理子のように50人に挙げる演奏家とは思えない人がいたり、シゲティに対する揶揄的な表現も(テクニック的にダメなのをありがたがって聴いていたという主旨の表現)あり、理解に苦しむところが多い(シゲティのSP時代の録音も含まれたCDのセットを挙げているが、例えばプロコフィエフの協奏曲第1番のSP録音を本当に聴いたのだろうか)。

著者は平凡社新書で既に指揮者、ピアニストについて同種の本を出しているようだが、「3日でクラシック好きになる本」というのを出していることからして、よく言えばフットワークが軽いのだろうが、ノリ優先とも言える。新書のクラシック音楽の本でしかも入門者がターゲットである本がコーホー先生だったり、丸山真男と近いことが売りなだけのおっさんだったり・・・(以下自粛)。出版業界の人は書き手をもう少し考えて選んでほしいと切に思う。そんなのは言ってもムダだろうけど。

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