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2006年05月28日

2人の巨匠のベートーヴェン

未開封CDの箱から取り出して聴いたもの。


○20世紀の偉大な指揮者たち~フルトヴェングラー(EMI)

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[CD1]
・ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
  ウィーン・フィル(1953年9月4日、ヘルクレスザール、ミュンヘン)
・ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」第1、2楽章
[CD2]
・ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」第3、4楽章
  E.ベルガー、G.ピッツィンガー、W.ルートヴィヒ、R.ヴァッケ
  ベルリン・フィル&合唱団(1937年5月1日、クイーンズ・ホール、ロンドン)
・ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
  ベルリン・フィル(1944年2月7日、国立歌劇場、ベルリン)

「合唱」は戦前の録音で、クイーンズホールでの英王ジョージ6世戴冠記念コンサートのライブ録音で20年くらい前にEMIから初めて出て話題になったもの。ただし、2枚に入れるため、第2楽章のスケルツォの1回目の部分の繰り返しをカットしている。を「英雄」「運命」もこの録音は持っていなかったので、バーゲンに出てたので購入。ただし、「運命」は録音データに疑問があるようで、1943年6月の(旧)フィルハーモニーでの録音(各社から発売されている)ものと同一らしい。
これでこの指揮者による「エロイカ」6種類、「運命」7種類、「合唱」6種類くらい持っていることになるわけだが、今の自分はどっちかというとフルトヴェングラーのベートーヴェンには手が伸びなくなっている。これが、ブラームス、R.シュトラウスだと違和感は覚えないのだが、ベートーヴェン、ブルックナーは聴いて「?」と思うことがしばしば。
昔の青年が社会主義に一度ははまったように、クラヲタも一度はフルトヴェングラーにはまる時期を経るということか。

このセットの中で一番違和感なく聴けたのは「エロイカ」で、録音の状態がいいテープが発掘されたこともあって、また聴衆の入った演奏会の録音なのに雑音が少なく聴きやすい。演奏の傷はあるものの、1944年の通称「ウラニアのエロイカ」を思わせる熱演。特に第1楽章のコーダ。
「合唱」は前に出ていたものより、録音状態はよいがそれでも音楽の流れをたどるのにやっとというくらい。当時としては合唱付の大編成の曲をライブで録音するには、努力してもこれがやっとだったのだろう。こんなことを書いたら熱烈フルトヴェングラー・ファンのお叱りを受けそうだが、ベートーヴェンの交響曲第9番はフルトヴェングラーで聴くと今違和感を覚えるものの1つである。第3楽章のアンダンテの部分はとてもAndante moderatoとは言えない超スローテンポで、第4楽章はテンポが自由に伸縮する演奏スタイルにより下手をすると取りとめがなく曲想が変わっていく音楽になりかねない構成なのが、さらにデフォルメされた冗談のような音楽に聴こえてしまう。(ついでに「バイロイトの第9」は演奏に傷が多く、初心者も想定した「名曲名盤○○選」のような企画で、まっさきににこれを推薦する習慣も、もうそろそろやめてはどうか。第9交響曲に親しんでから、20世紀の演奏史の旅としてとして聴くべき演奏だと思う。)

「運命」はライブ録音であるが、聴衆なしの放送用録音なので聴きやすい。第3楽章から第4楽章への推移、第4楽章のコーダは、この指揮者ならではの名人芸であるが、第2楽章はAndante con motoとは少々遠い世界であるのが残念。


で、比較のため未開封のこちらも聴いてみる。

○モントゥー・ベートーヴェン交響曲全集(DECCA)
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・交響曲第1~第9番
・「フィデリオ」序曲 作品72b
・「エグモント」作品84-序曲
・「シュテファン王」作品117-序曲
ピエール・モントゥー指揮、ウィーンpo.(交響曲第1,3,6,8番)、ロンドンso.(左記以外)
エリザベート・ゼーダーシュトレーム(ソプラノ)、レジーナ・レズニック(アルト)、ジョン・ヴィッカース(テノール)、デイヴィッド・ウォード(バス)、ロンドン・バッハ合唱団(交響曲第9番)
[特典盤]
交響曲第9番リハーサル風景
ラ・マルセイエーズ(フランス国歌)リハーサル風景

ピエール・モントゥー(1875~1964)の生誕130年記念ということで、2005年に発売されたもの。第9番はWestminsterから出ていたもの。
既にいくつか持っていた音源もあったが、セットなので買ったはず。
こちらをあらためて全部聴きとおすと、曲によっては演奏者の名前を伏せて聴かせれば、いわゆる「ピリオド・アプローチ系」の指揮者、団体を挙げてしまいそうな演奏で、とても1958年~1962年に録音されたものとは思えない、ロマン趣味、ベートーヴェンを「楽聖」とまつりあげるようなものとは遠く軽快な演奏で、よくある第2主題でテンポを緩める、というのもなし。また慣習的オーケストレーションの変更もほとんどみられず、楽譜どおりだと音の欠落に聴こえるようなところもそのまま楽譜どおりに演奏されている。
特に「エロイカ」が、先日NHKBS-hiでやっていた歴史ドラマ「“英雄”~ベートーベンの革命」を録画しておいたのを見たばかりだったので、なおさらウィーン・フィルが古楽オーケストラのように聴こえ、ベートーヴェンの時代におけるこの音楽の革新性がよく浮かび上がってくる。


今の自分の好みはこっちであることは明らかであるが、モントゥーはフルトヴェングラーより約10年早く生まれているのだが、演奏スタイルの違いに驚くとともに、なぜこの違いはと、考えてみる。

2006年05月14日

NHK交響楽団第1569回定期演奏会(スクロヴァチェフスキ指揮、ブルックナー交響曲第8番)

NHK交響楽団第1569回 定期演奏会
5月13日(土)開演03:00 PM
ブルックナー/交響曲 第8番 ハ短調 (ノヴァーク版/1890年)
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ

スクロヴァチェフスキが2007年4月に読売日本交響楽団の常任指揮者になるそうで、年齢も考慮すると、NHK交響楽団の指揮台に立つ機会も多いとは考えられない、ということで曲もブルックナーなので雨の中でかける。
代々木公園では「タイ・フェスティバル」が開催されており、晴れてて楽器持ってなければ、コンサート後でも何か食べて飲んで食材でも買って帰りたいところだが断念。
NHKホールの客の平均年齢が高いのはいつものことだが、今回はブルックナーということで男子トイレに行列ができていた。

今月の「開演前の室内楽」は、チェロ四重奏で、村井 将、銀銅久弥、山内俊輔、桑田 歩というメンバーで、D.フンク「組曲」をやっていた。開演前の司会者の話によると、故・徳永兼一郎氏の遺志で、いつもこの時期の「開演前の室内楽」はチェロ・アンサンブルをやっているそうで、今回が11回目、徳永氏が亡くなって10年とのこと。そういえば、はホスピスで闘病する徳永氏を追ったドキュメンタリー番組で、今回のメンバーである山内氏のレッスン風景の録音が紹介されていたのを思い出す。
チェロ愛好家以外にはなじみのないレパートリー(「ベルリン・フィルの12人のチェリスト」でさんざやった曲)は、この曲に関心ない人にはどう聴こえたのかと思ったが、そばにいた男女は「なんかいいねえ」と言っていた。


で、結構客入りのいい中、本題のブルックナーを聴く。
第1楽章はホルン1番のソロで、この曲を始めて聴く人でも「あれ?」と思うであろうヒヤリとさせられる瞬間があり、またフォルテのところで期待(?)を裏切らずトランペットの汚い音が聴こえて、どうしようと思ったということを記録しておく。
ブルックナーはインテンポでないと認めない、という人には合わないのかもしれないが、自分は波乱万丈、緩急も大きくとった演奏は、1つの行き方としてこれでアリだと思うし、
(初めてこの曲を聴こうという人には勧めないが。)
第4楽章はやはり興奮させる力のある演奏で、また第3楽章のクライマックスの後、第2楽章のトリオといった静かなところも、テンポの緩急、音量の設計などきちんと設計されていて、高齢に伴うコントロール力の衰えなど微塵も感じさせない、いい意味で「若い」演奏だと思う。

なお、NHK交響楽団と前にブルックナーの交響曲をやったときは、第4番で第1楽章のヴィオラのsoliにチェロをかぶせるとか、第4楽章にドラがボヨーンと聴こえるか聴こえないかくらいで鳴ったりという、先行例のない珍プレー(?)があったので、今回も何かないかと期待して行ったが、今回は、
・第1楽章のホルンの101-102小節、345-346小節を第2稿ハース版の音形に戻した、
・第3楽章の第1ヴァイオリンの3soliを1回目、3回目は表(同じ譜面台を見ているペアのうちステージから近いほうの奏者)全員、第2回目はコンサートマスター一人で弾かせたり、
というところが目立ったところか(コンサートマスター1人だけで弾く箇所はハース版の第1稿に由来するところのみ)。
(「あれ?」と思ったところだけで、スコアを見ながら聴いていたわけではないので、聞き落としもあるかもしれないが。)

オーケストラは注文はいろいろなくはないが、ホルン5~8番=ワグナーチューバ部隊は、健闘(というと僭越だが)していたと思う。
弦を見るとチェロ(トップは藤森氏)、コントラバス(トップは吉田氏)の低弦がノリノリで、第2ヴァイオリン(コンサートマスター山口氏がトップ)が、他のパートをよく聴いて弾いているというたたずまいであった。
プロでも第1ヴァイオリン的にはブルックナーは「おいしく」ない、ということなのか。

他に特記事項としては、楽譜に3台と指示されているが、実際には3台そろったのをあまり見たことのないハープが、今回は3台出動していた。NHK交響楽団で自分が聴いただけでも、1984年3月のマタチッチのときは3台だったが、1983年12月のヴァント、1994年5月(?)のワルベルクは2台。同じパートを3台で合わせるのは大変そうである。

2006年05月10日

レーグナーのブルックナーなど入ったボックス(Berlin Classics *cl* )

ブルックナーの交響曲4~9番、ミサ曲第2、3番、マーラーの交響曲第3番、ワグナーの交響曲ハ長調が入ったボックス。
レーグナーのブルックナーをまとめて聴くのは初めて。国内盤の「ドイツ・シャルプラッテン」のレーベルで出ていた記憶があるが、なぜ手を伸ばしていないかはわからない。ケーゲルのように熱烈ファンがいる指揮者ではないからあまり目に留まらなかったのか、それともコーホー先生が絶賛するから忌避したのかもしれない。
これだけ入っていると結構聴くの時間がかかり、連休の休みをまたいでしまった。

第一の特徴は、多くがびっくりするような速いテンポで演奏されていることで、ブルックナーの交響曲第6、9番はもちろんとして、第4番、第7番も60分を切っている。演奏時間が短いだけでなく、普通、休止符で残響をいつくしむようなところも多くがさっさと「さ、次いこ」と次の楽節に移っている。遅いテンポのブルックナー愛好家には耐え難いという人も少なくないのではないか。かと思うと突然、大見得を切るようなところもあったりして、油断できない。
誰にでも勧められる演奏ではないが、こんなブルックナーもあり、ということで持っておきたい。個人的には第6番(特に第2楽章)、第9番が楽しめた。テンポの遅い楽章のほうが、「セカセカ感」が前面に出ないのだろう。

マーラーの方はバーンスタインのむせ返るようなものと対極にある、これまたサラサラスタイルであるが、交響曲第3番だとさほど違和感を覚えないし、第6楽章で飽きてしまうこともない。ワーグナーは「ジークフリート牧歌」は名曲、演奏もそれにふさわしいが、初めて聴いた交響曲ハ長調はオーケストラの標準的レパートリーとして定着していないのがうなづけてしまう曲。シューベルトとメンデルスゾーンを混ぜて薄めたような出来で、策士の指揮者をもってしても聴きとおすのはつらかった。

CD-1
・ブルックナー:ミサ曲 第2番 ホ短調
・ブルックナー:テ・デウム
 マグダレーナ・ハヨーショヴァー(S)
 ローズマリー・ラング(A)
 ペーター・ユルゲン・シュミット(T)
 ヘルマン・クリスティアン・ポルスター(Bs)
 ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団&合唱団
 1988年2&6月ステレオ録音

CD-2
・ブルックナー:ミサ曲 第3番ヘ短調 WAB28
 マグダレーナ・ハヨーショヴァー(S)
 ローズマリー・ラング(A)
 アンドレアス・シュミット(T)
 ヘルマン・クリスティアン・ポルスター(Bs)
 ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団&合唱団
 1988年9月ステレオ録音

CD-3
・ブルックナ-:交響曲 第4番『ロマンティック』(ノーヴァク版)
 ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団
 1983年7月&1984年11月ステレオ録音

CD-4
・ブルックナー:交響曲 第5番(原典版)
 ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団
 1983年9月&1984年1月ステレオ録音

CD-5
・ブルックナー:交響曲 第6番(原典版)
 ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団
 1980年6月ステレオ録音

CD-6
・ブルックナー:交響曲 第7番(ハース版)
 ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団
 1983年5&8月ステレオ録音

CD-7
・ブルックナー:交響曲 第8番(ハース版)
 ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団
 1985年5&7月ステレオ録音

CD-8
・ブルックナー:交響曲 第9番(原典版)
 ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団
 1983年2月ステレオ録音

CD-9&10
・マーラー:交響曲 第3番
 ラトヴィガ・ラッペ(A)
 ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団&少年少女合唱団、女声合唱団
 1983年1&10月ステレオ録音

CD-11
・ワーグナー:交響曲 ハ長調
・ワーグナー:ジークフリート牧歌
 ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団
 1978年10&11月ステレオ録音